
この石は、玄武岩やそれに類似した岩の中で産出されることがもっとも多いですが、産出の幅が広い鉱物です。
(花崗岩中・熱水鉱脈中・変成岩中などにも稀に産出します。)
見た目の形は色々なものがあります。
ブロック状(四角い形)や四角錐、薄い板状、写真のように先が三角の形や様々です。
色合いも緑だけではなく、うすいピンクや薄いオレンジ、白、透明等様々です。
へき開は一方向に完全で、硬度は4.5~5で柔らかい鉱物です。
取り扱いは十分に注意してください。
産出地
主な産地は、インド(プーナ産が品質が良く有名)・ブラジル・カナダ・アメリカ・メキシコ・イギリス等
そして、日本。
- 岐阜県神岡鉱山
- 愛媛県久万町槇の川(安山岩)
- 新潟県間瀬(玄武岩)
等があります。
名前の由来

和名の”魚眼石”ですが…
お魚の目のような輝きに由来するようです。
欧米では魚眼石のことを別名で”フイッシュアイストーン”と呼ばれていたそうです。
角度によって”お魚の目のような輝きがある”ということからのようですが…。
この表現は私的にいまいちピンと来ないのが正直なところです。
柱状に成長した魚眼石の条線の部分がほんわか光る事がそうではないか?と言われています。
確かに、魚眼石は独特のほんわかさがあります。
そして、日本にこの石がやってきた時にそのまま直訳して”魚眼石”となったとのことです。
アポフィライトという名前は、熱すると葉っぱのように剥がれることからギリシア語の”apo”→離れる・”phullon”→葉という事から名付けられたそうです。
魚眼石・アポフィライトグループ
魚眼石という名称は、魚眼石・アポフィライトグループの総称です。
- フッ素魚眼石(fluoapophyllite)
目にする機会の一番多い普通の魚眼石。
色合いも豊かで、産出量も一番多いものとなります。 - 水酸魚眼石(hydroxylapophyllite)
フッ素(F)が多いとフッ化魚岩石、水酸基(OH)が多いと水酸魚岩石。
この違いが発見されたのが1978年で、このときより魚眼石は2つに分けられました。
肉眼での判別は不可能な違いで、産出はフッ素に比べ水酸基の物はとても少ないです。 - ソーダ魚眼石(Natroapophyllite)
産出は稀で、花崗岩と結晶質石灰岩※1の間のスカルン中に産します。
岡山県で発見された新鉱物です。
水酸基とフッ素とくれば固溶体。
フッ素魚眼石も水酸魚眼石も固溶体です。
※1 結晶質石灰岩
大理石のこと。石灰岩がマグマの熱で接触変成作用を起こし再結晶したもので変成岩の一種。