和名 霰石(あられ石)
この石はいろいろな色があります。
無色・白・黄・青・ピンク・紫・褐色等。
形状もさまざまで、岩の間になぜ珊瑚?と思う珊瑚そっくりな”山珊瑚”・霰に似た豆粒状のもので”豆石”・針状や柱状、繊維状のものなど。
この石は斜方晶系ですが、この結晶が3つ集まって双晶をなし六角柱状になるものもあります。
透明のものもあれば不透明なものもあり、多種多様です。
硬度は3.5-4でへき開は明瞭です。
名前の由来
この石の名前の由来ですが、英名”アラゴナイト”は、最初に発見されたのがスペインのアラゴン地方にちなんで名づけられました。
和名の”霰石”は江戸時代に長野県で豆粒のような石が産出した際、霰に似ていたので霰石と呼んでいました。
時代は進み明治時代になり、霰に似た石はアラゴナイトだ!ということになったのですが、更にまたその後、霰石と呼ばれていた石はアラゴナイトではなく、カルサイトだったことが判明。
しかし、以前から霰石と呼んでいた名残で、和名は霰石となったそうです。
同質三像 同質異像 多形
このアラゴナイトは、
- カルサイト(方解石)
- バテライト
同質異像(多形)とは、化学組成が同じで結晶構造が異なる(原子の配置が異なっている)ものです。
化学組成式は全て同じになりますが、わかりやすく言うとその並び方・手のつなぎ方が違います。
その鉱物が作られるときの温度や圧力の違いによって、この同質異像(多形)は生まれます。
もちろん、同質異像のそれぞれの鉱物は、鉱物単体としては全く別の鉱物となります。
3種類の鉱物が同質異像の関係になると、同質三像といいます。
(同質異像で説明がなされていることも多いです。)
バテライト Vaterite ファーテライト ファーテル石
このバテライト(vaterite)ですが、ファーテライト・ファーテル石とも言います。
調べたところ、1911年に人工的に作られたその後、アイルランド北部で天然のものが産出されたそうです。
かなり不安定な為、自然界ではほとんど産出はされないそうです。
人工的に生産された目的は、炭酸カルシウムの原料開発だったのでしょうか?
炭酸カルシウムというと、校庭に線を引く石灰や鍾乳洞、コンクリートや鉄鋼等。
身近にたくさん使われています。
仮晶
多形ということは、アラゴナイト仮晶のカルサイトとなっているケースもあります。
というとわかり難いですが、もともとアラゴナイトだったけれど、カルサイトになってしまった。
その際、形はアラゴナイトのままでカルサイトになっていることです。
●●仮晶の○○という言い方をします。(もしくは●●仮晶)
●●はもとの鉱物で、○○は置き換わった鉱物を言います。
※仮晶とは、とある鉱物が結晶した形を残したまま、中身が別の鉱物に置き換わってしまうこと。
ちなみに、多形の場合は仮晶が考えられます。
仮晶の発生原因
- 多形の関係にある鉱物同士が温度や圧力の変化などにより入れ替わる場合
- 鉱物が化学反応を起こして似た組成の鉱物となったり一部の成分が取り残された場合
- 鉱物が溶け去った後の空間を別の鉱物が埋める場合
の3つがあります。