
エメラルドグリーン。
この色の名前はエメラルドからつけられたもの。
その緑色は若葉や成長を連想させます。
新緑の五月にふさわしい誕生石だと思います。
そして数々の逸話と歴史を持つ石です。
ベリル
アクアマリンで紹介しましたが、再度、お話したいと思います。
エメラルドはBeryl/ベリルの仲間です。
ベリルとは、ベリリウム鉱物でベリリウムの原料となります。
色によってその呼び名が分かれます。
- 水色・青色 アクアマリン(鉄による発色)
- 緑色 エメラルド(クロムによる発色)
- 無色 ゴッシェナイト(セシウム含有)
- 黄色 ヘリオドール(鉄分による発色)
--イエローベリル・ゴールデンベリルともいわれます。 - ピンク モルガナイト(マンガンによる発色)
- 赤色 レッドベリル(マンガンによる発色)
--ビックスバイトともいわれます。
皆兄弟です。
同じベリル兄弟の中でもエメラルドはダイヤモンドに続く有名な宝石です。
クレオパトラとエメラルド
Emerald Itatiaia mine, Minas gerais, Brazil
エメラルドといえば、クレオパトラが浮かんでくると思いますが”宝石の女王”とのネーミングはここからついたのでしょうか?
自らの名をつけたエメラルドの山、”クレオパトラ鉱山”を所有し、粉末にしてお化粧品等として使用していたのはよく知られるところ。
そしてこのクレオパトラ、あんまり美人ではなかったとの話も聞いたことがあると思います。
見た目の美しさよりも、内面の美しさ。
知性と教養あふれるその人間性が桁外れに”美人”で、人々を引きつけてはなさない人だったとの事。
エメラルドの意味 いわれ
そしてそんな内面の美しさは”眼”にあらわれる…
エメラルドは古来より、眼病に効くとされていました。
そしてエメラルドの意味合いをたどると出てくるのは”心の眼”→”未来を見通す眼” 知識と教養をベースに、正しい未来を予測し常にどうすればよいか考え行動し、その結果幸せを手にするというものです。
エメラルドの意味として必ず登場するのは、
- ”幸せ・幸福”
- ”内面の美しさ”
- ”美と健康”
- ”未来を見通す”
脈絡の全くない意味合いではなく、歴史上の物事やその人となりに触れた言葉が今に通じていることが感じられると思います。
膨らませて考えてゆくと、意識の上でとてもポジティブな考え(問題に対して前向きに対策を考える)になり、障害を乗り越える力(考えて打開策を見つける)を授けると言われます。
一生懸命情報を収集し考えることによって、洞察力がアップするとも言われています。
”エメラルドと人間に傷のないものはない。”
天然のエメラルドは、傷があって当たり前。
傷は天然の証となるほどに、傷の多い宝石です。
流通しているものはオイルにつけて傷が分かりづらく処理されているものが一般的です。
また、”エメラルドカット”と呼ばれる四角い形で階段状にカットされた石の形がこの石の定番カットですが、衝撃によって割れやすい性質と、エメラルドの六角柱の結晶の形を活かせるカットとして考案されたものです。
産出地

エメラルドはエジプトが最古の採掘場だったと言われていますが、現在、エメラルドの産地はコロンビアが最大の産地で、ブラジル・パキスタン・ロシア・ジンバブエ・南アフリカなどがあります。
このコロンビア産のエメラルドの中に、三相インクルージョン(三相包有物)と言われる物が見られるエメラルドがあります。
エメラルドの中に、液体・気泡・岩塩の結晶(三相)が見えるものがあります。
また、トラピッチェエメラルドと言われ、真ん中のエメラルドから放射状にエメラルドがくっついているもの(輪座双晶)があります。
基礎データ

化学組成 | 珪酸塩鉱物 Be3Al2Si6O18 |
色 | 緑色 |
条痕 | 白色 |
結晶系 | 六方晶系 |
へき開 | 不完全 |
硬度 | 7.5-8 |
比重 | 2.6-2.7 |
注意点 | 衝撃に弱く、熱や紫外線(日光)にも弱いです。 |