
Pyrite Spain
和名は黄鉄鉱。
真四角のキューブ状の結晶で有名ですが、いろいろな姿で楽しませてくれるピカピカの金色鉱物です。
姿

Pyrite Ball China
パイライトの結晶は、立方体・八面体・十二面体・五角十二面体(黄鉄鉱面と特別に呼ばれる形で五角形が12個くっついた形)があります。
他には、塊や粒状になって産出されます。
更に双晶が多く見られます。
愚者の金 Fool’s gold
綺麗な金色です。
”愚者の金(Fool’s gold)”の別名を持ちます。
黄鉄鉱の比重は6.5。
鉱物の比重は2-4の間が多く、2くらいまでは軽い鉱物、4以上は重い鉱物と考えられると思いますが、金の比重は19.3で圧倒的に重い。
産出量は金と比べると黄鉄鉱はとても多く、金とは比べ物になりませんが見た目が似ているということから別名が付けられました。
ちなみに…
金の条痕は淡黄色(ある意味金色)、黄鉄鉱の条痕は緑がかった黒もしくは黒です。
共生鉱物
他の石と一緒・もしくは含まれていることがままあります。
水晶の中にパイライトが見えるものや、水晶クラスターなどにパイライトが粒状にくっついているもの、またラピスラズリの金色のピカピカの部分もそうです。
またエメラルド・サファイア・ダイヤモンドにも同じようなことがあります。
特にエメラルドは南米コロンビアチボール鉱山産のものが有名です。
緑色と金色のコントラストがとても美しいです。
特徴
パイライトの化学式はFeS2。
鉄と硫黄の硫化物で、鉱物の分類上では硫化鉱物となります。
金属・半金属が硫黄と結びついている鉱物を硫化鉱物といいます。
この硫化鉱物は大まかに見ると…
- 対称性の高い結晶形
- 金属に似た性質(金属光沢・導電性)
- 硬度が低い
- 比重が高い
等があげられます。
パイライトの硬度は6~6.5で、硬度6の”ナイフで傷をつけることができず刃が傷む”という指標を考えると硬く感じるかもしれませんが、一番硬いとされるダイヤモンドが硬度10。
他の硫化鉱物の硬度を調べると、黄鉄鉱はかなり硬度が高めですが、全体から見るとそうでもない。
黄鉄鉱は、この条件をほぼ満たしていると考えていいと思います。
工業的には現在ではその用途は殆ど無くシャープで面白い形のものが多いため、コレクターには人気があります。
以前は鉄・硫酸の原料として用いられていました。
パイライトと湿気
黄鉄鉱は湿気に弱い傾向があります。
梅雨時等、ちょっと力を入れればもろっといってしまうほどの状態になってしまいます。
尖っている角なども意外にもろっといくので要注意です。
また、個体によっても差異が出るようです。
湿気に弱いけれど、ハンマーなどで叩くと火花が散ります。
名前の由来
パイライトという名前はギリシャ語の火(pyr)に由来しているそうです。
仮晶
長野県武石村から出たもので、黄鉄鉱(パイライト)が酸化して、黄鉄鉱の結晶した形のまま褐鉄鉱になってしまったものがあります。
鉱物の結晶した形がそのままで、中身が別の鉱物に変わってしまうことを仮晶と言います。
結果、その見た目の形は、変わる前の鉱物の結晶の形のもので、変わった後の鉱物の結晶の形ではありえないものとなります。
パイライトは六・八面体・五角十二面体などが結晶の形ですが、この形のまま褐鉄鉱になったもので、先出の長野県武石村のものは、武石と呼ばれています。
他には、アンモナイトが黄鉄鉱化したものがあります。

