石の基礎知識 結晶系 双晶

石の基礎知識として、6つの結晶系や双晶、自然にできるその形を考えてみます。

1.結晶

宝石店で並んでいる宝石は人間の手でカットされ磨かれていますが、水晶など原石を見たとき何故この形になるのか不思議に思ったことはないですか?
”結晶”とは正にその不思議に思った形になることそのものです。

石をもっと小さな単位で見ていくと、原子が規則正しく周期的に配列しています。
これこそがその石の形”結晶する”ということです。
原子の配列が繰返されることでその石の外形・形が作られ、そしてその形は対称性を持ちます。
その対称性によって、結晶は6つに大別され”結晶系”と呼ばれます。
面と面とを結ぶ軸(結晶軸)と、その結晶軸が交差する部分の交差角度によって分類されています。

1-1.6つの結晶系

各項目の緑色の図は結晶軸とその交差角度を表しています。
各鉱物の外形は多種多様ですが、この結晶軸により全ての鉱物は6つに分類されます。
6つの結晶系ではなく7つの結晶系の分類も提唱されていますが、ここでは6つの分類で記載します。

1-1-1.等軸晶系(立方晶系)

等軸晶系(立方晶系)

サイコロのような立方体が基本的です。
八・十二面体もありますが、どれも結晶軸と交差角度は同じものです。

結晶軸の長さ 3本とも同じ長さ
交差角度 90°
該当する鉱物例 ダイヤモンド・岩塩・黄鉄鉱・蛍石

1-1-2.正方晶系

正方晶系

基本的な形は直方体ですが、四角柱や両錐体で現れるものが多いです。
両錐体の場合は底面がお互いにくっついた形(ピラミッドの底面がくっつたような形)が多いです。

結晶軸の長さ 3本の結晶軸のうち2本が同じ長さで1本が異なる長さ
交差角度 90°
該当する鉱物例 ジルコン・ルチル・黄銅鉱・魚眼石

1-1-3.斜方晶系

斜方晶系

斜方晶系の英名は”orthrhombic”→角が直角の平行四辺形という意味の名前がつけられています。

 結晶軸の長さ 3本とも異なる長さ
交差角度 90°
該当する鉱物例 トパーズ・重晶石・白鉄鉱・硫黄・天青石

1-1-4.単斜晶系

単斜晶系

単斜とは、一本の軸が傾いているという意味です。
晶系の中で一番多くの鉱物を含みます。
縦に半分に割ると同形となります。

結晶軸の長さ 3本とも異なる長さ
交差角度 3つの角度のうち2つは90°で、前後の軸は90°ではなく斜交するもの
該当する鉱物例 石膏・孔雀石(マラカイト)・緑簾石(エピドート)

1-1-5.三斜晶系

三斜晶系

結晶系の中で一番対称性が低いものです。
その鉱物によって、様々な形が出現する晶系でもあります。

結晶軸の長さ 3本とも異なる長さ
交差角度 3つの角度全て90°ではないもの。(それぞれ鋭角で交わっている。)
該当する鉱物例 トルコ石・藍晶石・バラ輝石(ロードナイト)

1-1-6.六方晶系 三方晶系

六方晶系 三方晶系

この六方晶系と関わりが深いので、冒頭にお話した7つの結晶系に少し触れます。
もうひとつの結晶系の名前は”三方晶系”といいます。
結晶を360°回転させた時、同じ形(面と稜の位置関係)が2回以上現れれば対称性を持っているといいます。
同じ形が6回現れる(6回回転対称軸と呼びます)六方晶系ですが、実は3回だけ現れている(3回回転対称軸)のでは?と考えた場合、三方晶系は誕生します。
この六方晶系との分類は見た目でははっきりわからず、確定するには原子構造をきちんと調べないとわかりません。

結晶軸の長さ 4本の結晶軸を持ち、そのうち3本は同じ長さで同一平面上にあり、一本のみ異なる長さ
交差角度 同一平面上の3本の軸は互いに120°で交わり、残りの一本は同一平面上の3本の軸と90°で交わる
該当する鉱物例 六方晶系 緑柱石(エメラルド・アクアマリン)・燐灰石
三方晶系 石英・方解石・電気石

 以上6つの結晶系を列挙しましたが、これはあくまで理想的な形です。
鉱物が成長するときになんの問題もなく(環境的な障害がなく)すべての方向に綺麗に育った場合になる形です。

2.結晶の各部位の基本的な呼び方

結晶の各部位の基本的な呼び方
 結晶を取り巻く 面
二つの面が交わってできた線
頂点 辺3つ以上の面が交わった点 隅角

上記の形は水晶の形の一つです。
卓面(C面)に関してですがほとんどお目にかからない形かと思います。
通常、この部分が六角錐となって下記の形状となります。

水晶の各部の名称


結晶が成長する際、卓面(C面)の成長が早いためにお目にかからない面となっています。
なにか理由があって(途中でいきなり成長が止まった=なにかの理由…)この面が出現する場合が稀にあるため、めったにない面ですが面の名称として記載しました。

3.晶癖と晶相

自然界で産出されるものは6つの結晶系のような理想的で綺麗な形はほとんどありません。
それはなぜか?
晶癖と晶相という言葉があります。

晶相(しょうそう)

外的な条件により、結晶面の組み合わせが異なることによってできる形の変化をいいます。
例として、黄鉄鉱に見られるその形のバリエーションです。
面の数が違うものがたくさんありますが、晶相は面の数が違うものが該当します。
また外的な条件とは、不純物の吸着や成長時の温度や圧力、過飽和等があげられます。

晶癖(しょうへき)

結晶面の組み合わせは同じですが特定の結晶面に異常発達が見られ、これが原因で形が違って見えることをいいます。
例えば、岩石の中に鉱物が育つ場合、そのスペースの関係で物理的に成長ができない場合、そのスペースに合わせた形に成長します。
いまいちピンとくる方は少ないのではないのでしょうか?
以上の理由、それはなぜか?というと、結晶の面の成長のスピードがそれぞれ違う事によって形が変わるためです。

4.結晶の形の呼び方

特定の鉱物のよく見かける形を把握しておくと、これはなんだろう?と考えるときに予測がつきやすくなります。
また、ある鉱物が結晶の集合体として産出されたときに表現される言葉とかぶりますので、一緒に記載させていただきます。

針状(しんじょう) 細く尖った形のもの 柱状(ちゅうじょう) 細い柱のような形
板状(ばんじょう) 平たいテーブル状 錐状(すいじょう) 錐面が発達した形
毛状 毛髪のように柔らかく細くふさふさしてるもの 球状 丸い形
ヒゲ状 長いヒゲのような形(自然銀) 皮膜状 薄い皮が石にはりついているようなもの
放射状 針状等の結晶が放射状に広がったもの 樹枝状 結晶が連なり、木の枝のようになっているもの
ブドウ状 ブドウの房のように細かい結晶が丸い結晶を作っているもの 腎臓状 ブドウ状よりも大きい結晶が集まっているもの、人間の腎臓のような形
層状 鉱物が層になっているもの 鍾乳状 鍾乳石のような形になったもの
箔状 金箔のようにとても薄い膜のようになっているもの 鍾乳状 鍾乳石のようにつららのような形になっているもの

例)モリブデン鉛鉱の板状結晶は、”板状晶癖を示す”

5.平行連晶

軸を共有し、その方向が平行な結晶の集まりです。
石英の平行連晶は、山が幾つも連なったような形になります。
外観が聖堂のような見た目の水晶を、カテドラルクォーツといいますが、これも平行連晶です。

Calcite Yaogangxian Mine Hunan province China
Calcite Yaogangxian Mine Hunan province China
また、軸を共有なので、松茸水晶(セプタークォーツ)等も平行連晶となります。
Secptrequartz Madagascar
Secptrequartz Madagascar

6.双晶

特定の結晶面・結晶軸に互いに対称的である2個以上の結晶がくっついたものです。
色々ありますが代表的なものをいくつか書きます。

6-1.単純双晶

2つの結晶がくっついたもの。
接触双晶と貫入(透入)双晶、2種類があります。

6-1-1.接触双晶

二つの結晶がある一つの面でくっついたもの。


Fish tail selenite
Ocampo, Coahuila, Mexico
日本式双晶 Madagascar

6-1-2.貫入(透入)双晶

二つの結晶の一部分が、お互いの結晶の中に入り込んだもの。

Staurolite Keivy Kola peninsula Russia
Staurolite Keivy Kola peninsula Russia

6-1-2-1.ブラジル式双晶 ドフィーネ式双晶

ブラジル式双晶 ドフィーネ式双晶
ブラジル式双晶 右水晶と左水晶が貫入した双晶
ドフィーネ式双晶 右水晶あるいは左水晶同士で貫入した双晶
右水晶 左水晶については ちょこっとColumn4 水晶の左右 右水晶 左水晶

6-2.反復双晶

3つ以上の結晶がくっついたもの。
集片双晶と輪座双晶があります。

6-2-1.集片双晶

くっついた面が平行な、繰り返し双晶。

斜長石 アルバイト双晶
斜長石 アルバイト双晶

6-2-2.輪座双晶

桜石-菫青石仮晶-京都府亀岡市湯の花

中心を共有して放射状の双晶。
見た目は絵に書いたお花のようです。
桜石は菫青石が酸化して雲母化した3連貫入(透入)双晶であり、輪座双晶でもあります。

6-3.多重双晶

同じようなパターンが繰り返しくっつき、ひとつの結晶がどこまでなのか解らなくなった双晶。

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