石の基礎知識として、硬度と粘靭性について考えていきます。
硬度
鉱物の硬さを見るとき使われるのが、”モース硬度計”
ドイツの鉱物学者”フリードリッヒ・モース”が考案しました。
”硬度計”というと機械のようですが、計測する機械ではありません。
硬さの基準になる鉱物を10種類選び、硬度の度数を決めたものです。
硬度 | 標準鉱物 | 内容 |
1 |
|
もっともやわらかい鉱物。 つるつるした手触り。 |
2 |
![]() 石膏 |
指の爪で何とか傷をつけることができる。 |
3 |
![]() 方解石 |
硬貨でこすると何とか傷をつけることができる。 |
4 |
![]() 蛍石 |
ナイフの刃で簡単に傷をつけることができる。 |
5 |
![]() 燐灰石 |
ナイフで何とか傷をつけることができる。 |
6 |
![]() 正長石 |
ナイフで傷をつけることができず刃が傷む。 ※画像黒い部分はアルベゾン閃石・白い部分が長石 |
7 |
![]() 石英 |
こすり合わせるとガラスや鋼鉄銅などに傷がつく。 |
8 |
![]() トパーズ |
こすり合わせると石英に傷をつけることができる。 |
9 |
![]() コランダム |
石英にもトパーズにも傷をつけることができる。 ※コランダムとは、赤色はルビーそれ以外はサファイアです。 |
10 |
![]() ダイヤモンド |
地球上のあらゆる物質の中でもっとも硬い。 |
因みに…
人間の爪 | 硬度2.5 |
10円銅貨 | 硬度3.5 |
ナイフの刃 | 硬度5.5 |
硬度が6度以上の鉱物はガラスを傷つけることができます。
それぞれの硬度と硬度の間の値は、すべて等間隔ではありません。
硬度9のコランダムの9倍の硬さが、硬度10のダイヤモンドです。
また藍晶石は、縦方向にひっかいたときに硬度4、横方向にひっかいたときは硬度7となり、ひっかいた方向によって硬度が違う鉱物もあります。
新聞紙って横に破くよりも縦に破いたほうが破きやすいですよね。
繊維の方向でこうなっているのですが、この原理と同じです。
粘靭性(ねんじんせい)
物理的な性質のことをまとめて粘靭性といいます。
外部からの圧力が加わったときに示される抵抗のことです。
この粘靭性には以下のものがあります。
弾性 (だんせい) |
外的な力を受けたものが元に戻ろうとする力。 |
柔性 (じゅうせい) |
ハンマーで叩くと粉末になり、ナイフで粉末を出さずに切断できる性質。 |
展性 (てんせい) |
圧力、叩かれると薄く板状に伸びる性質。 金は展性に富むのを日本人はよく知っていますね。 展性と延性を合わせて、塑性(そせい)といいます。 |
延性 (えんせい) |
弾性の限界を超えても破壊せずに引き伸ばされる性質。 もちろん金はこれも当てはまります。 展性と延性を合わせて、塑性(そせい)といいます。 |
撓性 (とうせい) |
鉱物を曲げたとき破壊もせず元にも戻らない性質。 |
脆性 (ぜいせい) |
外的な力を受けたとき、あまり変形せずに破壊する性質。 脆さ(もろさ)ともいいます。 反対語は靭性。 |
靭性 (じんせい) |
外的な力に対しての抵抗力。 壊れにくい性質。 粘り強さをいいます。 |
この中で、鉱物関連の本や記事を読むとよく出てくるのが、展性・延性。
展延性という言葉もみられます。
よく混同されがちなのは、硬度と靭性はイコールではありません。
硬度とはあくまでひっかいた時のもの。
硬度10だからといって、壊れにくいということではありません。
ダイヤモンドでも、ハンマーでたたけば簡単に粉々になります。
この硬度は、アクセサリーを購入する時の参考にしてみてください。
そのアクセサリーに使われている石の硬度を知ると、取り扱いの手がかりにもなります。